本『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』二宮敦人(著)一読感想

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何年かに一人、出るか出ないかという天才のための、大学。

円山応挙展東京藝術大学

先日『円山応挙から近代京都画壇へ』展の際

東京藝術大学=最後の秘境の中に入っていたのでした。

大学美術館は道路を隔てて(上野公園から行って)左側でしたので、美術学部。(通称「美校」)

右側の音楽学部の方は入口の門付近が工事中のためのぞけませんでした。(通称「音校」)

1つの芸術大学の中に、音楽と美術両方持っているのが特徴の藝大。

かたや、自己表現の塊の様な、もしくはまるっきり外見に無頓着なカオスな集団。

かたや、芸能人の様なオーラの集団。

普通これだけ雰囲気が違いますと

例えば学校や職場では

互いに見下すなり遠ざけるなりで不仲なものですのに

ここでは違います。

演奏を聴いては

「はあ・・・やっぱり音校の人は凄いなあ・・・」

作品を見ては

「美校の人たちって天才ですよね。もう、天才!」

この本を読んでいて

美術学部の人たちと音楽学部の人たちが

お互いに尊敬の念を持っている姿が

とても眩しく素晴らしいです。

今年2019年の東京藝術大学の文化祭

「藝祭」は

9月6日(金)から8日(日)だそうです。

テーマは「カイマミ」

ちょっと行ってみたいですよね!!

卒業後半数が行方不明

一番印象に残った箇所が↓こちらです。

「何年かに一人、天才が出ればいい。他の人はその天才の礎。ここはそういう大学」

大学卒業後、就職する人は1割、半数は行方不明。

・・・なんともスゴイ就職率の大学ですよね。

ほとんど全ての大学は就職率を上げようとしているでしょうに。

進路指導や就活支援はほとんどしないと書いてあるのです。

芸術という何の役にも立たないことをしている生徒に、なんとか生活できるだけのノウハウを教えてくれる学校・・・

では『無い』のですね。

なんとも恐ろしく厳しく感じます。

芸術を生み出すための恐ろしさ、厳しさ・・・

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