墨一色で描かれているのに黒一色ではないなんて、すごい技術です。
水墨画など墨一色で描かれているものを観た時、
モノクロにしか見えないものを観ている人の想像の中「だけ」で色を付けているのだ、と
これまでずっと思っておりました。
しかしながら
大乗寺のふすま絵『松に孔雀図』は
本当に「そう見える」様に工夫がされているのです。
松の葉は「緑」に
松の幹は「茶」に
孔雀の羽は「青」に。
大乗寺の襖として配置された距離と場所、日差しの角度が色を表出させるのです。
残念ながら、ここ東京藝術大学大学美術館展示室ではその真価が発揮されないということです。
悔しい、観たい、ぜひ観たい!
こういう「現地に行かなければ絶対体験できない」系統の芸術品は、
もう現地に行くしかないのです。
『ピサの斜塔』もそうでした。
あの斜めになっている建物の不思議さは、
入って上ってみなければ分かりません。
下りは怖かったです。
『琥珀の間』もそうでした。
琥珀という石で部屋一面飾るという価値は、
入った瞬間変わる空気に全身浸されないと分かりません。
ほんのりと夏は涼しく(おそらく冬は暖かく)、
空調設備などない時代には奇跡の部屋だったのではないかと思います。
ところで
大乗寺ってどこかしら?
高野山真言宗 大乗寺
兵庫県でした。
香住駅からタクシーで5分。
今行きましてもふすま絵はありませんので要注意です。
東京の後、京都でも『円山応挙から近代京都画壇へ』展が開催されます。
いつになったら確実に観られるのかしら?